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投資に向かない人間の脳と本能

投資に向かない人間の脳と本能

人は本能で投資判断をする

「本能の逆張りをしろ」とこの世界ではよく言われますが、これはどういうことでしょう?
人の脳は投資には全く向いていないということなのです。人は論理で考え、感情で決断する生き物ですが、時に感情に支配されてしまうことがあります。投資で鉾の傾向が顕著に表れます。今回は人の脳の構造や心理的な面から、長期投資を仕組化することがいかに大切かをお話しします。

投資の神様のたとえ話

ここで一つウォーレン・バフェットのたとえ話を一つご紹介しましょう。
「皆さん、スーパーに行って普段から欲しいものがあって、普段よりも高い価格になっていたら、買うのを見送りますよね。逆に安くなっていたら、買うのではないでしょうか。それが賢い消費者です。ところが普段は賢い消費者が、投資の世界に入ると急におろかになってしまうのです。そう、安い時には買わずに、高い時に買おうとしてしまうんです。だから株式投資ではみんな失敗してしまうのです。」
わかりやすいたとえ話ですね。要するに高値掴みしてしまって損をするということなんですが、なぜこうなってしまうのでしょうか?

①人は本能で投資判断をする

人は投資判断をするときの脳の働きはどうなっているでしょうか?
実は人が投資判断をするとき、情動系、直感系の回路を使って判断することがわかっています。これは我々人類が小さな哺乳類だった時からもっている回路で、ネズミが蛇と鉢合わせたとき、逃げるか戦うかをとっさに判断するときに使う回路です。株価が下落すると冷静に「割安になっている」と判断せずに、「下がっているから危険だ」と判断して逃げ出してしまうのです。逆に高くなっているときは冷静に「割高だから、今買うと高値掴みだ」と判断せずに、「今が攻め時だ!」と判断して買ってしまうのです。
一歩引いて考えれば誰でもわかることなのですが、いざ実際に自分のお金を投じるとなると、本能系の回路が優先して働いてしまい、投資に失敗してしまうというわけです。

②アンカリング

人間の心理に、アンカリングと呼ばれるものがあります。株式投資でいえば、論理に関係なく、一度見た高値や安値を基準に、判断してしまうことです。例えば、気になっているA社の株があるとします。A社の株は現在10000円ですが、1か月前に過去最安値の3000円という値がついていました。そうすると「最近最安値が付いたのだから、また安くなるまで待とう」と考え、買い控えてしまうといった心理です。逆に今A社の株を保有しているが、売却を検討しているとします。買った時は7000円で、10000円で売っても利益は出るのですが1か月前に過去最高値の20000円の値がついていて、「また20000円まで上がるかもしれない」と考え売り控えてしまうのも同様の心理です。
このように過去の事象に引っ張られ、その事象をアンカー(船の錨)にして投資判断をしてしまうことをアンカリングといいます。
もちろん過去事実としてあったというだけで、また同じ値が付くとは限りません。

③傾向は続く?

また、今起きている傾向が今後もずっと続くと思い込んでしまう心理もあります。
暴落局面がわかりやすいでしょう。今皆さんが投資信託を保有していて、リーマンショックのような大暴落に見舞われたとします。
リーマンショックの時は毎日株価が下がり続けました、恐怖ですよね。こうなるとこのまま永遠に株価が下がり続けるのではないかという恐怖が市場を支配します。これが余計に売りを招き、さらなる暴落を招きます。しかし実際には企業の業績は開封し始め、利益が出ていたため、株価は本来の価値より不当に低い値になっていたのです。
実を見ずに、多くの投資家が「この暴落傾向は続く」と思い込んでしまったため、過度な売りを招いた結果です。
この時ウォーレン・バフェットはウォールストリートジャーナルに「Buy Ameica. I am...」と題した寄稿をしました。この中で彼は誰しもが世も末だと恐れた大暴落の中で、米国企業の株式の力強い成長を確信し、ぶれずに米国企業株を買い続けると宣言しています。恐怖に支配されず、実を見て冷静に判断することが、投資において欠かせない素質なのです。

投資を一人でしてはいけない

上記で述べてきたように、投資は一人ですると往々にして間違った判断をしがちです。だからこそ、冷静な視点の第三者のプロからアドバイスを受けられるかどうかはとても重要になってきます。

尊敬される職業。2位がIFAに

実はアメリカではこのことはすでにとても重要であると認識されています。
リーマンショック前、アメリカの尊敬される職業のベスト3は
第一位 医師
第二位 弁護士
第三位 IFA
でした。
ところがリーマンショックを経て、この順位が入れ替わったのです。
第一位は不動の医師なのですが、第二位がIFAになったのです。
なぜでしょうか?

顧客の資産を防衛したIFA

リーマンショックの株式相場の下落幅は背筋も凍るようなもので、前年1000万円だったものが400万程度にまで落ち込む大暴落でした。逃げ出したくなるのも当然でしょう。皆さんの本能は逃げ出せと命令するはずです。事実多くの人が損切りしようとたたき売りしてしまいました。
ただこの時、IFAに相談していた人たちは売らずに投資信託を持ち続けたのです。その結果株価は5年で元通り以上の水準にまで回復し、今ではもちろんさらに伸びています。
今振り返ればそれが正解だと誰にでもわかるでしょう。ただ市場が恐怖に支配されているとき、「保有し続ける」という判断は、IFAが冷静な視点でアドバイスしていたからこそできたものだったのです。この結果、顧客の資産を守り、かつ反転して増幅させたということで、IFAに対する支持、信頼が弁護士を上回ったのです。

皆さんの投資に伴走者を

日本では制度ばかりが先行して、金融教育はおざなりになっており、本質が置き去りになっています。日本の投資信託の平均保有年数はようやく3年を超えた程度で、長期投資とは程遠い状況です。このままではいずれ必ずくる大暴落で惨劇が起こるのは目に見えています。だからこそ読者の皆さんにはぜひ投資の伴走者としてIFAを付けてほしいのです。
「投資の世界には友人はいない」とよく言われます。残念ながらあるのは足の引っ張り合いや、成功者への妬み嫉みだけです。
こんな投資の正解だからこそ、伴走者にIFAはかかせない存在です。投資の世界では冷静な第三者の意見が重要ということはすでにお話ししましたが、これができるのはIFAだけなのです。なぜなら、証券会社や銀行の営業担当と違い、商品を売って手数料をもらったら終わりという報酬体系ではないからです。IFAだけは唯一、顧客からの預かり資産に対して、一定の資産を増やせば増やすほど、手数料計算の分母が増えるため、収入が増える仕組みです。つまり顧客の資産を増やして初めて自分の収入が確保できるため、顧客とIFAのインセンティブが一致しているのです。利益相反が起きない仕組みになっているからこそ、皆さんの長期投資の最大の助けとなるでしょう。