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インフレ抑制のための景気後退は避けられないのか

インフレ抑制のための景気後退は避けられないのか

インフレ抑制のため、中央銀行は景気後退はやむをえないと考えている

欧米のインフレは日本と比較にならないくらい高く、市民生活がひっ迫しています。インフレ率が10%を超え、賃金上昇が全く追い付かず、ストライキも各地で起こっています。昨年10月時点の日経新聞の記事によると、米国の一般家庭がこの冬(2022年10月~2023年3月まで)に支払う年間の電気、水道代併せて2290ドル、1ドル130円とすると約30万円、月に直すと月々5万円とのことです。
日本の日銀にあたる中央銀行であるアメリカのFRB、EUのECBは異例のペースで利上げをすすめています。中央銀行の使命は物価の安定化です。利上げは進みすぎたインフレを抑制するためのものという名目なのですが、果たしてどうでしょうか?

利上げはいまだ十分な効果がでていない

アメリカを見てみると、
2ケタ前後のインフレが続くアメリカですが、もはや「インフレ率が6%を超えると大統領失格」と言われていた時代は遠い過去のように思えます。
FRBのパウエル議長は、2022年5月以降11月まで4回連続で0.75%ずつ利上げを行ってきました。12月になって0.5%に縮小しましたが、利上げは行っていますし、まだ行うようです。
「物価の安定を取り戻すために痛みの伴わない方法はない」、「現時点ではインフレ引き下げに焦点を置いている」、「インフレが持続的に低下していると確信できるまで利下げは実施されない」などと発言していることから、まだ利上げを十分のは考えていないことがわかります。
ヨーロッパはどうでしょう?
昨年7月から12月までに、ECBは合計2.5%の利上げを行いました。日本の政策金利が黒田総裁の軌道修正した後でも0.5%であることを考えれば、とても速いペースであることがわかります。ラガルド議長の発言としては、「インフレリスクは主に上向き」であり、「より強力な金融政策が必要である」といったものでした。

インフレ抑制のための利上げは本当に正しいのか

今各国の中央銀行は基本的に利上げによってインフレを抑制しようとしています。しかし疑問に思ったことはないでしょうか?
「本当に効果があるのか?」と。
昨年初めに出た運用会社のレポート読むと、読み解くヒントがあります。どのような企業が長期的に投資するに値するのかという分析です。
例えば、新型コロナウイルスの蔓延により、旅客航空便が激減したことは記憶に新しいでしょう。旅客機は人を運んでいるだけでなく、貨物も一緒に運んでいます。旅客便が減ると運べる貨物も減ることになり、供給不足で物価が上がってしまうのです。一定以上物価が高くなると、買い控えが起こっていまい、モノが売れなくなります。これでは企業業績は下がってしまいますが、売れなくなるのは「なくてもなんとかなるもの」から順番にです。そうでないものもあります。例えば、Apple社のiPhoneはどうでしょう。多少値上がりしてもファンは無理してでも買うでしょうし、仕事で欠かせない人や会社も必ず買います。このように高いブランド力、他に追随を許さない技術やシェア、独自性、参入障壁の高いサービスを持つ会社は供給不足によるインフレ下でも売り上げが落ちづらいのです。
株価は長期定期には企業の稼ぎ出す利益に連動しますから、今の世界情勢や経済情勢を鑑み、こういった企業を対象に投資銘柄を絞るという考え方が示されていました。

インフレの要因が変わった

この胃からわかることは、インフレの要因がいままでとは変わったということです。今まではインフレは主に需要側に原因がありました。つまり好景気で金余りの状態となり、旺盛な需要に供給が追い付かず、物価が上がっていくという構図です。
不動産で考えてみましょう。金余りで投資マネーが不動産に流れるとします。不動産価格はどんどん上がっていくわけですが、上がりすぎると一般の人が家を買ったり借りたりするのに高いお金を払わないといけなくなり、市民生活が脅かされます。これでは困るので
中央銀行の最も大切な役割である「インフレ・ファイター」として、利上げを行います。不動産はローンを組んで買うことも多いですから、利上げで借入金利が上がると、不動産投資の意欲も衰えます。投資熱が下がると、不動産価格も安定してきます。利上げを続けると家を買う問いの住宅ローンも上がってしますため、いい塩梅で調節したければなりませんが、イメージだけ掴んでいただければ結構です。
しかしこの度のインフレは、もはや旺盛な需要によるものではなく、供給側の脆弱性の問題です。旅客航空便の減便で輸送量が減ったり、中国のゼロコロナ政策によるロックダウンで工場が閉鎖、生産が滞るといった現象の結果、需要に供給が追い付かなくなっているのです。

インフレの要因が変われば、政策も変えるべきでは?

このようなインフレの場合、利上げに効果はあるのでしょうか?世間が好景気で金余りの状態であるわけではなく、ものが少ないから、買い手が殺到して高くなっているわけです。不動産の例で分かるように、利上げは一歩間違うと景気を冷え込ませてしまうことにつながります。今の状況での利上げは適切でないと考えています。ヨーロッパで一部ではインフレを抑制するため利上げを「景気よく瀬的な水準まで行う必要がある」といった声も聞かれますが、少なくとも日本ではそんなことはせいてはいけません。
日本の物価上昇は欧米に比べれば、3%程度と幾分健全な水準です。アベノミクスを継続して市場にお金を流し、景気を活発にすべきでしょう。景気を良くして賃金を上げなければ、今の物価上昇に対抗することはできません。政治家は賃金上昇を最優先すべきです。

黒田総裁は軌道修正したか?

最近日銀が政策金利の目標を±0.25%から±0.5に幅を広げたことが話題になりました。「事実上の利上げ」、「日銀は市場に屈した」と報じられました。確かに黒田総裁は10年国債の利回りの歪みを調整するためと言っていますから、市場に合わせて幅を広げたことを「屈した」とマスコミは騒ぎ、実際10年国債の表面率は上昇しましたから「事実上の利上げ」ということになってしまうのでしょう。黒田総裁の真意はわかりませんが、私は軌道修正したつもりはないように思います。黒田総裁の任期は今年の4月までですから、それまでは緩和路線を継続するでしょう。
マスコミや金融機関が「黒田総裁が軌道修正した」と騒ぐのは、その方が自分たちにとって都合がよいというバイアスは否定できません。マスコミは安倍元総理の政策は何でも反対ですから、アベノミクス路線の黒田総裁の金融緩和は気に入らないですし、金融機関は金融緩和下では債券取引が商売にならないので、軌道修正してほしいという願望があります。
ただ新総裁が就任したらどうなるかはわかりません。一般的には利上げ路線に進むだろうとは言われています。岸田総理は経済音痴なので、とても心配しています。

インフレ対策、消費促進が必要なのに増税?

岸田政権は経済音痴なのか、わざと日本経済を破壊しようとしているのかわかりませんが、誰ば見ても間違った路線に進んでいます。
インフレ対策のために企業に賃上げを促していますが、その分増税しては何をしているのかわかりません。それに消費・内需を活発にしなければ日本のみで商売をしている企業は潤わず、賃上げすらできません。日本の企業の99%以上は中小企業で、もちろんグローバル企業はほとんどありません。
日本人からとにかくお金を搾り取ることしか考えていないのでしょう。私たち国民がおとなしすぎるのです。声を上げていかないと私たちの生活は苦しくなるばかりです。
岸田さん本人の考えではなく、財務省主流派の意向をそのまま汲んでいるのえしょうが、本当に市民のを考えてほしいものです。