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「ミサイルが飛んだら株を買え」~地政学リスクに惑わされない長期投資の心得~

「ミサイルが飛んだら株を買え」~地政学リスクに惑わされない長期投資の心得~

「ミサイルが飛んだら株を買え」過去地政学リスク局面は買い場だった

皆さん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの萬實赳志です。
日頃から多くのお客様に資産運用のご相談をいただく中で、特に最近よく耳にするのが「地政学リスクが怖い」という声です。中東情勢の緊迫化やミサイル発射のニュースが流れるたびに、株価チャートが気になり、売却を検討してしまう——そんな投資初心者の方は決して少なくありません。しかし、株式投資の世界では古くから「ミサイルが飛んだら株を買え」という格言が語り継がれています。この言葉は、1990年代以降に起きたさまざまな地政学的事件において、株価が一時的に下落した局面でむしろ絶好の買い場だったという経験則から生まれました。著名な投資家やストラテジストが繰り返し引用するこの格言は、単なる楽観論ではなく、市場の歴史的な回復力を端的に表したものです。
このブログを読めば、再び長期投資へのスタンスに確信が持てるでしょう。

過去の地政学リスク局面を見る

まずは過去のデータを振り返ってみましょう。地政学リスクによる株価下落が1年以上にわたって継続した事例は、ほとんどありません。たとえば1990-91年の湾岸戦争では、株価は短期間で底を打ち、戦争終結後に力強く回復しました。2003年のイラク戦争、2011年のリビア情勢、2014年のクリミア危機、そして直近の例では2022年のウクライナ侵攻時も同様です。これらのケースでは、平均して下落期間は15日程度、下落幅も一桁台にとどまり、3カ月以内に元の水準を回復するパターンが大半を占めています。

投資家の不安(短期要因)から企業業績(長期要因)への合理的変遷

この回復力の背景には、市場参加者の合理的な行動があります。有事の際は「とりあえず売る」という避難行動が見られますが、それは一時的な心理的反応に過ぎません。すぐに投資家は企業業績という本質的な要因に目を向けます。企業が技術革新を進め、売上を伸ばし、利益を拡大していく根本的な成長力は、地政学リスクのような一過性の出来事では損なわれにくいのです。実際、S&P500や日経平均株価の長期リターンを分析すると、地政学イベント発生前後で比較した場合、1年後・3年後・5年後のリターンはむしろプラスになる傾向が強いことがわかります。そして2026年4月現在、まさにこの歴史的なパターンが繰り返されています。イラン情勢は依然として注視すべき点がありますが、市場参加者は「落ち着いている」と判断しています。原油価格の一時的な上昇はありましたが、それは短期的なショックとして吸収され、投資家の関心はAI関連企業の成長や堅調な企業決算に移っています。結果として、S&P500指数や日経平均株価は最高値圏を更新し続けています。投資家は地政学リスクを「ノイズ」として扱い、企業の実力に焦点を当てているのです。

このような市場の動きは、株価の本質を教えてくれます。株価の長期的な方向性は、企業の利益成長に連動します。一時的なニュースで生じる変動は、波の表面の泡のようなものです。泡が弾けても、海の流れそのものは変わりません。長期投資家にとって重要なのは、この「海の流れ」に乗ること、すなわち市場に滞在し続けることです。投資初心者の皆さんが特に注意すべき点は、感情に流されやすい心理です。ニュースの見出しに一喜一憂し、狼狽売りをしてしまうと、回復のタイミングを逃してしまいます。私のFP相談室でも、「一度売却してしまったら、いつ戻ればいいかわからなくなった」という後悔の声を何度もお聞きします。逆に、市場に留まり続けたお客様は、複利の力を最大限に活かし、着実な資産形成を実現されています。

長期投資家がとるべきスタンス

積立投資は不安に打ち勝つ近道

具体的な対策としておすすめしたいのが、毎月の積立投資です。NISA(少額投資非課税制度)を活用し、ドルコスト平均法で定期的に購入を続ける方法です。これにより、高値掴みや安値売りというタイミングの難しさを回避できます。また、資産の分散も重要です。
国内株だけでなく、世界に目を向けること。長期にわたり利益成長できる企業に、国籍を問わず投資できる世界株式型投信をお勧めします。エクセレントな企業はグローバルに展開していることも多いため、どの国に本社があるかは、もはや関係ないのです。

もちろん、すべてのリスクを無視するわけではありません。ご自身の年齢、収入、家族構成、リスク許容度に合ったポートフォリオを構築し、定期的に見直すことはFPとして強く推奨します。たとえば、50代の方であればやや守りの姿勢を、30代の方であれば成長株中心の攻めの姿勢を基本としつつ、柔軟に調整していくのが賢明です。しかし、地政学リスクのような「一過性の出来事」に過度に反応するのは避けるべきです。


市場環境ではなく、自身のライフプランに合わせて投資戦略を策定する

ミサイルが飛んだら株を買え」という格言は、決して無責任な投機を勧めているものではありません。むしろ、市場の歴史が証明する回復力と、長期視点の大切さを教えてくれる智慧です。投資とは、未来の企業成長を信じ、その果実を享受するための行為です。短期的なノイズに惑わされず、冷静に大局を見据える姿勢こそが、長期投資家としての強さなのです。

最後に、皆さんにお伝えしたいのは「投資はマラソンである」ということです。スプリントのように一時的なスピードを競うものではなく、40年・50年という長い期間で資産を育てるものです。地政学情勢がどうであれ、企業のイノベーションは止まりません。AI、再生可能エネルギー、半導体、バイオテクノロジーなど、未来を支える成長分野は数多く存在します。それらに分散投資しながら、市場に寄り添い続ける——それが初心者から上級者まで、すべての投資家に共通する成功の鍵です。もし個別のポートフォリオ相談やリスク許容度の診断をご希望でしたら、ぜひファイナンシャルプランナーとしてお手伝いいたします。一人ひとりのライフプランに合わせた、持続可能な資産形成の道筋を一緒に考えましょう。投資は未来への希望を形にする行為です。どうか地政学のニュースに振り回されず、長期的な視点を持って前進してください。