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2023年以降の経済の見通しについて

2023年以降の経済の見通しについて

2023年以降の経済の見通しについて

今年もついに12月に入りました。光陰矢の如しで、あっという間の一年でした。
今年はウクライナ戦争という目立った事件もあり、生活環境や相場が随分と荒れました。
新型コロナ、というより各国の過剰な抑止政策でサプライチェーンが痛んでいたうえに、ヨーロッパの小麦とエネルギーを支えていたロシア、ウクライナが紛争当事国になったことで物価が急激に上昇し、日本とは比較にならな程市民生活に支障が出ています。
この傾向は今後どうなるのでしょうか?
世界経済の成長が止まることはありませんが、個人個人のレベルでは目前の生活に大きな影響が出ることが考えられるため、参考までに2023年以降の経済の見通しを見てみたいと思います。

物価はどうなる??

最も関心が高いことの一つが物価の見通しでしょう。日々の生活に直接影響があるからです。キーワードは
①リショアリング
②経済より安全保障
の二つでしょうか。順にみていきます。

①リショアリング

①リショアリングとは、海外から戻るといった意味合いですが、何のことかというと、生産拠点の国内回帰です。
今までは国内に生産拠点を持っていると高い人件費がかかるため、生産コスト削減のため東南アジアなどに工場を移して生産することがグローバルなモノづくり企業のスタンダードでした。日本が代表例で、バブル崩壊後ので経済下、日本国民が日本製の良い品を安く買うことができ、海外での品質×価格競争で優位に立てたのもこのおかげです。しかしこれがどうやら続けられそうにないことがわかってきました。
理由はいくつかありますが、第一に海外に生産拠点を持っても、生産コストが以前のように下げられなくなったことです。端運に再三拠点にしていた中国や東南アジアの経済が発展し、現地の人件費が上昇したためです。ではほかの国で作ればよいと思われるかもしれませんが、これが簡単にはいかないのです。
代表的な例を申し上げれば、まずもって国交の壁があります。現地で法人を登記したりするのに、法律が整備されなくてはなりません。ほかにも文化の壁もあります。商慣習などが違いすぎると困るからです。一番はインフラの壁です。工場を建てるには下水道や電気が通ってなくてはいけませんし、流通網の整備ができていないと、せっかく生産したものを運ぶこともできません。あれだけカントリーリスクがあるにも関わらず、中国に生産拠点を持つ企業が多いのは、曲がり曲がりなりにもインフラ面が整備されているからです。
そんなわけで、海外に生産拠点を作り、生産コストを下げる!というのが通用しなくなってきているのです。
生産コストが思うように下がらなければ、わざわざリスクをとって海外で生産する必要がないので、国内に生産コストを回帰させようというのは、自然な流れでしょう。

インフレは生産コスト上昇がもらたらす

生産コストが下げれないとなると、それが製品価格に反映されるのは仕方のないことです。皆さんが日常生活で使っているいろいろなものが今や海外で生産されていたため、物価の上昇は避けえない事態となっています。問題はこれが日本の経済発展に伴うインフレではないことです。皆さんの給与が上がらないのに、物価ばかりが上がるので、生活が苦しくなるでしょう。困ったことです。
最優先に取り組むべきは固定費の最適化です。電気代や生命保険料など、同じものならより安くなるようにしっかり見直してください。

②(経済の)効率性よりも安全保障

ある機関投資家向けのコンサルティング会社のレポートによると、ソ連崩壊後の二極対立からグローバルへという流れが変わりつつあるとのことです。再び米国を中心とする民主主義陣営と、中国やロシアなどの独裁国家との二極対立構造となり、独裁国家の覇権拡大を目指す姿勢に対して力による抑止力強化のため、軍拡が始まるという見方です。そのため経済の効率性よりも安全保障分野の注力が優先され、資源も優先的に配分されるため、インフレ、物価上昇が続くというものです。
お気づきでしょうか?前の世界大戦が起こった時と基本的な構造が似ています。
前の世界大戦では、まず世界恐慌という経済危機から各国がブロック経済に入りました。今世界は生産拠点を国内に回帰し、民主主義陣営、独裁国家陣営ともにお互いの陣営から企業などが引き上げ、互いの経済圏内での貿易に舵を切りつつあります。
その後、経済制裁を受けた枢軸国側が石油などの資源確保、生存権を確保するために戦争に踏み切りましたが、今ロシアがNATOの東方拡大を防ぐべくウクライナで戦線を開き、中国も今IT関連企業を中心に欧米から排除されつつありますが、台湾有事がまことしやかにささやかれるようになってきました。不気味なのは世論に弱い岸田政権が国防予算を拡大させようとし、それを増税によって賄おうとしていることです。大騒ぎするはずのマスコミも思ったより静かなので、何かもうシナリオができているかのように感じてしまいます。

物価上昇(インフレ)、景気後退の程度は?

物価が上昇する見通しであることはわかりました。ではどの程度が見込まれているのでしょう?
そして景気後退についてはどうでしょうか?

物価上昇はどの程度になるのか?

以前もご紹介した「人口動態の大逆転」という書籍では、主要先進国のインフレ率はおおむね4%程度であろうということでした。原因は①の要素によるものです。ただウクライナ紛争が始まり、安全保障重視の②の要因が存在感を増し、冒頭触れた機関投資家向けのコンサルてぉいんぐ会社のレポートでは、インフレ率2桁上昇局面も予想されるとされています。主だった要因は資源価格の上昇です。石油などのエネルギー、食糧など。
日本の11月の企業物価指数は前年比9.3%と過去最高になったというニュースが出ていました。電力やガス価格が大きな要因で、製品の価格転嫁も今後出てくるでしょう。欧米ほどでなくても、日本の物価上昇も一刻も早くここの過程で対策を打つべき水準に到達すると考えておくべきです。

景気後退は?

来年中に米国をはじめとしてリセッション、景気後退に入るという見方が大方のようです。中国の景気低迷も今までになく深刻です。そもそも今までの中国の国家統計を信じてはいませんでしたが。ゼロコロナ政策での過剰なロックダウン、欧米からの中国製IT企業への締め付けなど、苦しい局面が続いています。
景気というのは必ず好不況の循環があるので、今回の景気後退で世界がどうこうなるということはありません。いずれ再び回復局面に向かいます。
世界株式投資信託での長期資産資産形成という意味では、変わらず継続するというだけのことです。ただ物価上昇が続くことを考えると、ますます現金での貯金よりも積み立て投資に舵を切っていく必要があるでしょう。日本では制度ばかりが先行して長期投資の本質がまだ国民にはほとんど伝わっていません。私は皆さんに長期投資の本質をお伝えしていきたいと、心から願っています。