投資信託、「コスト」より大切なこと①
投資信託には「コスト」より大切なことがある
世界の株式市場を投資対象にした投資信託での資産形成ですが、世界株式のインデックスファンドがよく勧められます。私もブログや新聞取材など、不特定多数の人向けに発信するときはインデックスファンドをお勧めざるを得ないので、特段異論があるわけではありません。
私が違和感を覚えたり、異論を持っているのは、インデックスファンドを勧める人たちによる、視聴率やクリック数を増やす目的の偏ったミスリードにあります。今回は次回の2回に分けてこのミスリードをただし、本当に大切なことに目を向けていただけるようなお話をしたいと思います。
私が違和感を覚えたり、異論を持っているのは、インデックスファンドを勧める人たちによる、視聴率やクリック数を増やす目的の偏ったミスリードにあります。今回は次回の2回に分けてこのミスリードをただし、本当に大切なことに目を向けていただけるようなお話をしたいと思います。
「コスト」は害なのか?
インデックスファンドをごり押しする人たちの錦の御旗の一つが、投資信託のコスト、主に信託報酬です。信託報酬というのは、毎年純資産残高、つまり積み立てたり一括購入したりした投資信託の残高(その時の評価額)に対して、所定のパーセンテージをかけた金額を証券会社経由で運用会社等に支払うというものです。一般にインデックスファンドはこの信託報酬が低く、アクティブファンドは比較的高く設定されています。アクティブファンドの方が信託報酬が高いことがやり玉にあがります。
問題はこのコスト自体ではありません。付加価値に対してコストが適正かどうかが問題なのです。言うまでもないことですが、付加価値のあるものにコスト、対価がかかることは市場原理として当然のことです。何ら後ろめたいものはありません。銀行ATM手数料はいつでもどこでもお金が引き出せることに対するコスト、対価です。レストランの食事で、限界上の価格を支払うのは、準備や後片付けをしなくてよい、自分で作れないおいしい料理が食べられるということに対するコスト、対価です。自分にできないことに対してコストを支払うのは、感覚として何も違和感はないはずです。
問題はこのコスト自体ではありません。付加価値に対してコストが適正かどうかが問題なのです。言うまでもないことですが、付加価値のあるものにコスト、対価がかかることは市場原理として当然のことです。何ら後ろめたいものはありません。銀行ATM手数料はいつでもどこでもお金が引き出せることに対するコスト、対価です。レストランの食事で、限界上の価格を支払うのは、準備や後片付けをしなくてよい、自分で作れないおいしい料理が食べられるということに対するコスト、対価です。自分にできないことに対してコストを支払うのは、感覚として何も違和感はないはずです。
日本の大半のアクティブファンドは「コスト」に見合わなかった歴史が
上記で指摘したように、アクティブファンドの信託報酬(コスト、対価)が、それに見合う以上のものであれば何ら問題はないはずです。そしてアクティブファンドの場合その意味は、信託報酬を差し引いても、インデックスファンドのリターンを上回るということです。
ただ実は確かに、日本のアクティブファンドや証券会社の販売手法が目も当てられない状態だったのは事実です。
例えば、世界株式インデックスファンドのリターンが年率6%、ある世界株式アクティブファンドAの年率リターンが7%だったとしましょう。一見、世界株式アクティブファンドAの年率リターンがインデックスを上回っています。
世界株式インデックスファンドの信託報酬は年率0.2%、世界株式アクティブファンドAの信託報酬は年率1.5%とします。
しかしコストを差し引くととどうでしょう。世界株式インデックスファンドに投資した人の獲得年率リターンは6%ー0.2%⇒5.8%です。
世界株式アクティブファンドAに投資した人の獲得年率リターンは7.0%ー1.5%⇒5.5%です。
実はコストを差し引くと、世界株式アクティブファンドの実績がインデックスを下回ってしまいます。日本の投資信託、主に証券会社系の運用会社の投資信託はこういった買う価値のないアクティブファンドがたくさんありました。
なので批判されるのも無理なからんところはあった業界の責任もあります。
ただ実は確かに、日本のアクティブファンドや証券会社の販売手法が目も当てられない状態だったのは事実です。
例えば、世界株式インデックスファンドのリターンが年率6%、ある世界株式アクティブファンドAの年率リターンが7%だったとしましょう。一見、世界株式アクティブファンドAの年率リターンがインデックスを上回っています。
世界株式インデックスファンドの信託報酬は年率0.2%、世界株式アクティブファンドAの信託報酬は年率1.5%とします。
しかしコストを差し引くととどうでしょう。世界株式インデックスファンドに投資した人の獲得年率リターンは6%ー0.2%⇒5.8%です。
世界株式アクティブファンドAに投資した人の獲得年率リターンは7.0%ー1.5%⇒5.5%です。
実はコストを差し引くと、世界株式アクティブファンドの実績がインデックスを下回ってしまいます。日本の投資信託、主に証券会社系の運用会社の投資信託はこういった買う価値のないアクティブファンドがたくさんありました。
なので批判されるのも無理なからんところはあった業界の責任もあります。
コスト(信託報酬)に見合う以上のリターンをだすアクティブファンドも存在する
ただ一方で、ごく少数ですが信託報酬に見合う以上のリターンをだすアクティブファンドも存在することも事実です。そして傾向として、ある運用会社が何本のアクティブファンドを保有していて、他は全然ダメだけど一本だけ素晴らしいファンドがある、といったことはありません。素晴らしいアクティブファンドを産み出す運用会社は、何本も素晴らしいアクティブファンドを産み出している傾向があります。
なぜか。
それはアクティブファンドのインデックスリターンを上回る力の源泉が、運用会社の運用哲学、運用方針、パフォーマンスを維持するためのガバナンスにあるからです。ですから、私はお客様に「投資信託はファンドを選ぶより、まず運用会社を選ぶべき」とアドバイスしています。世界的なアクティブ専門の運用会社で、インデックスファンドよりも高い信託報酬を払ってもインデックスリターンをしっかり上回ってきた実績があり、今後も期待できると思える会社を、今知る限りで3社知っています。「本物」も存在するのも事実です。ただ情報を出し惜しみするわけではなく、不特定多数の人に発信する場では会社名やファンド名をお伝え出来ないので(定期的に観察しておかねばならないため)、こちらはご相談ください。
なぜか。
それはアクティブファンドのインデックスリターンを上回る力の源泉が、運用会社の運用哲学、運用方針、パフォーマンスを維持するためのガバナンスにあるからです。ですから、私はお客様に「投資信託はファンドを選ぶより、まず運用会社を選ぶべき」とアドバイスしています。世界的なアクティブ専門の運用会社で、インデックスファンドよりも高い信託報酬を払ってもインデックスリターンをしっかり上回ってきた実績があり、今後も期待できると思える会社を、今知る限りで3社知っています。「本物」も存在するのも事実です。ただ情報を出し惜しみするわけではなく、不特定多数の人に発信する場では会社名やファンド名をお伝え出来ないので(定期的に観察しておかねばならないため)、こちらはご相談ください。
コストが低いインデックスファンドには理由がある
最後に、そもそもなぜインデックスファンドは信託報酬が低いのでしょう?私はこのブログで、信託報酬つまりコストは、付加価値への対価だと申し上げました。
そう、つまりインデックスファンドには運用会社の付加価値がほとんどないからです。S&P500の米国株式インデックスファンドであれば、S&P500という指数の通り、買い付けるだけなのです。そこに運用会社が価値を付加する余地はありません。そしてインデックスファンドは、指数を上回りも下回りもしたない、完全連動を目指すファンドです。他社よりもパフォーマンスを上げるためには、信託報酬つまりコストを圧縮するしか道がありません。だからコスト競争になるのです。そしてコスト競争の先に飛躍や発展がないのは人類の歴史の常です。
インデックスファンドや米国株が今ブームですが、なんにでも絶対はなく、ブームには一歩引いた視点で接するのが大切だと言えるでしょう。
そう、つまりインデックスファンドには運用会社の付加価値がほとんどないからです。S&P500の米国株式インデックスファンドであれば、S&P500という指数の通り、買い付けるだけなのです。そこに運用会社が価値を付加する余地はありません。そしてインデックスファンドは、指数を上回りも下回りもしたない、完全連動を目指すファンドです。他社よりもパフォーマンスを上げるためには、信託報酬つまりコストを圧縮するしか道がありません。だからコスト競争になるのです。そしてコスト競争の先に飛躍や発展がないのは人類の歴史の常です。
インデックスファンドや米国株が今ブームですが、なんにでも絶対はなく、ブームには一歩引いた視点で接するのが大切だと言えるでしょう。