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令和7年度税制改正:給与所得者のための年末調整と税負担軽減のポイント

令和7年度税制改正:給与所得者のための年末調整と税負担軽減のポイント

令和7年度税制改正:給与所得者のための年末調整と税負担軽減のポイント

令和7年度(2025年度)の税制改正は、物価高騰への対応と「年収の壁」問題の緩和を目的に、所得税の計算構造に大きな変更をもたらします。特に、給与所得者を対象とした基礎控除や給与所得控除の拡充、特定親族特別控除の新設、扶養親族の所得要件緩和は、多くの方の税負担軽減と手取り増加に直結する重要な改正です。本稿では、会社員の皆様が年末調整で適切に対応できるよう、改正の概要、具体的な影響、注意点を詳細に解説いたします。

1. 税制改正の背景と目的

近年の物価高騰は、家計に大きな負担を強いており、特に低中所得層の生活を圧迫しています。また、「年収の壁」(配偶者や扶養親族の収入が一定額を超えると控除が受けられなくなる問題)が、労働時間の抑制や就労意欲の低下を招いてきました。政府はこれらを解消するため、令和7年度税制改正において、以下の3つの柱を軸に所得税制度を見直しました。

〇基礎控除の大幅な引き上げ:低所得層を中心に税負担を軽減。
〇給与所得控除の拡充:特に低所得の給与所得者に恩恵。
〇特定親族特別控除の新設および扶養親族の所得要件緩和:家族構成の変化に対応し、若年層の就労を支援。

これらの改正は、合計所得金額2,350万円以下の納税者を対象とし、令和7年12月1日より施行(令和7年分所得税から適用)されます。ただし、基礎控除の拡大は令和7・8年分に限定され、令和9年以降は一部縮小される点に留意が必要です。

2. 改正の主要ポイントと給与所得者への影響 (1) 基礎控除の引き上げ

基礎控除は、すべての納税者に適用される基本的な控除で、合計所得金額に応じて金額が変動します。改正により、以下の通り控除額が引き上げられます(令和7・8年分限定)。

影響:給与所得者にとって、課税所得が10〜47万円減少し、所得税率(5〜45%)に応じて数万円から十数万円の税負担軽減が見込まれます。たとえば、年収400万円(合計所得約250万円)の会社員の場合、控除額が48万円から88万円に増え、所得税率10%で約4万円の節税効果が期待できます。年末調整では、控除額の自動適用が基本ですが、所得金額の確認が重要です。

2. 改正の主要ポイントと給与所得者への影響 (2) 給与所得控除の引き上げ

給与所得控除は、給与収入から差し引かれる経費相当額で、低所得層を中心に画像の通り拡充されます。

影響:パートやアルバイトなど低所得の給与所得者は、控除額増加により課税所得が減少し、税負担が軽減。たとえば、給与収入150万円の場合、控除額が55万円から65万円に増え、約5,000円(所得税率5%)の節税に。副業を持つ会社員も、副業収入が低額の場合に恩恵を受けます。

2. 改正の主要ポイントと給与所得者への影響 (3) 特定親族特別控除の新設と扶養親族の所得要件緩和

特定親族特別控除:19〜23歳の扶養親族(例:大学生の子)の給与収入が123万円超188万円以下の場合、親に最大63万円の控除を新設(収入150万円まで満額、188万円で0円)。
扶養親族の所得要件緩和:扶養親族や配偶者の合計所得金額の上限が48万円(給与収入103万円)から58万円(給与収入123万円)に引き上げ。勤労学生は75万円から85万円に緩和。

影響:配偶者や子どものパート収入が103万円を超えても、123万円(または188万円)まで扶養控除や配偶者控除を維持可能に。たとえば、配偶者の給与収入110万円の場合、従来は控除が失われましたが、改正後は63万円控除が適用され、約3〜6万円の節税に。子育て中の会社員家庭では、家計の柔軟性が増し、若年層の就労促進にも寄与します。

3. 年末調整での注意点

年末調整は、給与所得者の税額を精算する重要な手続きです。改正に伴い、以下の点に留意してください。

必要書類の確認:
扶養控除等申告書や配偶者控除等申告書に、家族の収入状況を正確に記載。特に、配偶者や子どもの収入が123万円前後の場合、特定親族特別控除の適用可否を慎重に確認。

所得金額の把握:
基礎控除の金額は合計所得金額で決まるため、給与以外の所得(副業、不動産所得等)を申告漏れなく報告。

期限厳守:
年末調整書類は通常11〜12月に勤務先から配布。提出期限を遵守し、誤記入を防ぐため事前に家族の収入情報を整理。

副業の場合:
副業収入が20万円超の場合、確定申告が必要。給与所得控除の改正が副業に適用されるため、節税効果を最大化するには正確な申告を。

4. 個人事業主や副業を持つ方への補足

本改正は給与所得者に直接的な恩恵が多いですが、副業を持つ会社員や個人事業主にも影響があります。個人事業主の場合、基礎控除の拡大は事業所得にも適用され、確定申告で税負担軽減が見込めます。ただし、年末調整ではなく確定申告が必要なため、e-Taxを活用し、青色申告(最大65万円控除)との併用で節税を最大化してください。副業収入が給与所得の場合、給与所得控除の増額が適用されるため、確定申告で控除漏れがないよう注意が必要です。

5. 今後の展望と準備

基礎控除の拡大は令和7・8年分に限定され、令和9年以降は一部縮小(詳細未定)される予定です。給与所得者は、以下の準備を推奨します。

家計の見直し:控除拡大による手取り増加を、貯蓄や投資に活用。
家族の就労計画:配偶者や子どもの収入を123万円以内に調整することで、控除の恩恵を最大化。
税務知識の更新:国税庁の公式発表や税務専門家のアドバイスを定期的に確認。

おわりに

令和7年度税制改正は、給与所得者の税負担軽減と家計の安定を支援する重要な一歩です。年末調整を円滑に進めるためには、改正内容を理解し、必要書類を正確に準備することが不可欠です。特に、家族構成や副業の有無に応じて、控除の適用条件を慎重に確認してください。より詳細な情報は、国税庁のウェブサイトや税務専門家への相談を通じてご確認いただくことをお勧めします