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シリコンバレー銀行破綻は長期投資家に影響を与えるか?

シリコンバレー銀行破綻は長期投資家に影響を与えるか?

シリコンバレー銀行の破綻はなかなかの大事件

日本では知らない人の方が多かったと思われるシリコンバレー銀行ですが、その破綻はなかなか衝撃的なようです。
名前の通り、シリコンバレーのIT企業を多く顧客として抱え、最近まで2000億ドルを超える(25兆円以上)の資産、1750億ドルの預金残高(20兆円以上)を誇っていました。優良金融機関とみられていたのです。それが米国市場2番目に大きい銀行の破綻となったため、アメリカでは「次はどこがはたんするんだろう…」と騒ぎになったわけです。ほどなくシグネチャー銀行も破綻しました。
リーマンショックの時もそうでしたが、正直銀行自身も、監督官庁もズボラだったと言わざるを得ません。明らかに予見できたことでした。「そんなことしてたら、そりゃこんな結果になるよね」という、重大な過失です。強気相場になると「根拠なき熱狂(ロバート・シラー)」を性懲りもなく繰り替えす体質は変わらないようです。

破綻の原因は?

簡単に言えば、米国債を大量に保有していたことが原因です。このこと自体は日本も「他山の石」としなくてはなりません。日本国債の最大の引き受け元は国内銀行なのですから。
シリコンバレー銀行はコロナ下でのテクノロジー関連企業の業績急成長を受け、預金が大量に流入しました。金融機関の現金が急に増えたときには、注意が必要です。
金融機関に限りませんが、必要以上に現金を保有することは「投資先がない」ことを意味します。つまりビジネスに投資していれば、さらなる利益成長を目指せるはずなのに、新しいビジネスチャンスを見つけてこれていないことを意味するからです。
そこでシリコンバレー銀行は米国債を買うことにしました。少し前から業績が低迷し始めたことも要因です。米国債はリスクフリーとみなされており、利回りも悪くないので、現金と違い、保有しているだけで毎年利益が出るからです。しかし見通しが甘かった。

なぜ米国債の保有が裏目に出たのか

問題は米国債を買ったすぐ後に、利上げが始まったことです。
今回の場合、シリコンバレー銀行が買った時の国債の金利と、買った後利上げ後の金利の差が短い期間で開いてしまいました。すると先に発行された金利の低い国債は価値が下がってしまいます。同じ米国債なのですから、新しく発行された金利の高い国債を買えばよいわけです。当然先に発行された金利の低い国債は割引しないと買い手が付きません。
これは保有している途中に売却した場合の藩士で、満期まで保有できた場合は特に問題ありません。ところがシリコンバレー銀行は、顧客である新興のTEC企業が成長鈍化し、預金の引き出しを初めてことで、現金を準備する必要に迫られました。米国債を売却する必要が出てしまったのです。結果大きな損失を計上し、破綻に追い込まれたという訳です。

押せ押せムードが一転下落局面に

Apple以外の大手TEC企業の大規模リストラを見てもわかるように、コロナ需要で活況を呈したのは過去の話、成長の鈍化が目に見えて現れてきていました。特に新興企業はまだまだ体力が足りませんでしたから、従業員の給与を払うために預金の引き出しに走ることは,
創造に難しくなかったはずなのですが…
最大手の銀行に比べて厳しい規制が課されていなかったこともあり、未然に悲劇を回避することができませんでした。

リーマンショックの再来となるのか

連鎖的に倒産している銀行も出始めているため、金融危機の再来を心配する声も上がっています。往々にしてメディアは危機をあおるものですが、実際はどうでしょうか?
正直まだ影響のほどはわかりませんが、今のところ被害は限定的との見方のようです。
日本の松野長官は「日本への影響は限定的」と述べています。
バイデン大統領も預金は全額保護されると宣言し、火消しに奔走しています。
リーマンショックの時のような、金融システムが崩壊し、全国的に大金が溶けて破産者が続出しているわけではないため、リーマンショックのようにはならないとは思います。
銀行がいくつかつぶれたからといって、必ず大暴落が起きるわけではありません。
今回はバブルがはじけつつあった新興TEC業界に絞ってトラブルが生じた状況ですから。
ただ恐怖の連鎖というのは侮れないもので、もしほかに爆弾を抱えている金融機関に影響が及び、別の問題が噴出してきたら、さらに下落が進むこともあり得ます。

短期相場の下落は避けられない

とはいえ、銀行の倒産はショッキングなニュースです。米国株式市場は一度大きく下げました。反発はしましたが、15日時点で下落前の水準にはまだ回復していません。破綻する銀行が増えれば、下落傾向は続くでしょう。年初から少し株価が回復し始め、景気後退の懸念も晴れたかという局面でしたから、予想を裏切られた投資家もいるでしょう。
クレディスイス株も15日に過去最安値を記録しました。
本当に短期投資家は大変です。常に様々なニュースに神経をとがらせ、日々の相場に一喜一憂し、おまけに予想が当たる確率は二分の一と来たものです。(統計上データとしてはっきり出ています)
博打のようなものですから、カジノや競馬のように中毒性があるのでしょう。
ただ博打は必ず勝つのは胴元だけであるということを忘れてはいけません。

長期投資家への影響は?

私が常日頃お勧めしている世界株式への長期投資をしている方に影響はあるでしょうか?
もちろん一時的にお持ちの投資信託の評価額は下がるでしょう。下落の谷が何年続くかも今後のお動向次第でまだわかりません。
しかしあの100年に一度と言われたリーマンショックですら、5年で株価は回復しました。直接被害を被っていない限りは当時の悲惨な状況をあまり覚えていない方も多いでしょう。直接被害を受けない限り、人は痛みを忘れるものです。
確かに銀行の破綻は、預金者にとって大問題です。銀行預金は貯金が子にお金を入れるのではなく、「銀行にお金を貸している」のだということを忘れてはいけません。大手の銀行が破綻すると、他行にまで預金引き出しが殺到し、連鎖倒産を招くことになります。
日本の場合、預金保険制度で保全されるのは1000万円までです。

投資信託は時価で満額保全

銀行預金と違い、投資信託は金額にかかわらず保全されます。皆さんが投資信託を購入した場合、皆さんのお金を預かるのは証券会社でも運用会社でもありません。信託銀行が預かっています。そのお金は法律によって、厳密に他の財産と分離して管理することが義務づけられています。信託銀行が破綻しても上限なく時価で満額保全されるため(投資信託ですから、価格変動の影響はもちろん受けます)、最も堅牢な保護が適用されています。もちろん運用会社や証券会社が倒産しても何の影響もありません。その点は心配ありません。

株価は長期的に企業の利益成長に連動する

資本主義の崩壊とまでメディアが騒いでいたリーマンショックも、5年で株価が回復したのは、総体として企業が利益を出し、成長を続けていたからです。
どれだけ不景気になっても、仕事でエクセルやパワーポイントを使っていた人が、使用をやめることはありません。
iphoneを手放して、スマホなしの生活にも戻ることもありません。
今後新興国の発展や、技術革新が止まることもありません。
売り上げを上げ続けられる強い企業は存在し、世界経済の成長を止めることの方が不可能です。
優良な世界株式ファンドを長期で保有すれば、この力強い成長の恩恵を受けられるのです。
むしろ積み立て中の方々にとって、目前の下落は優良企業の株がバーゲンセールで買えるので、歓迎してもいいくらいです。
日々の雑音に左右されず、確信をもって投資を継続しましょう。