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「買ってはいけない!」金融商品

「買ってはいけない!」金融商品

「買ってはいけない!」金融商品

前回までで、資産運用の王道、ゴールから逆算した金融商品の選び方などご紹介してきましたが、どうしても知っておいていだだきたいこととして、絶対に手を出してはいけない金融商品をご紹介します。

素人にはわからない危険がいっぱい

金融商品は複雑で、金融機関側と一般消費者との間に圧倒的な知識と情報量、スキルの差があります。
医師と患者との関係に似ているかもしれません。
医療現場では「インフォームド・コンセント」というものがあります。医師は患者が理解しやすいような説明を心がけ、患者や家族が納得できるようにする必要があるとされている考え方です。
私は金融機関にもこれが必要だと考えています。
加えて、金融機関の担当者は売るための知識は豊富でも金融のプロとはいいがたい「売るプロ」が多くいます。口車に乗ってとんでもない商品を買わされないよう、ご参考ください。

①テーマ型投信、および個別株

証券マンは入社するとまず日経新聞の読み合わせを行い、会社から指示されている商品を売るためのストーリーを考える訓練をするそうです。証券マンは、どんな商品でも魅力的なストーリーをつけ、顧客に夢を見させる買わせるプロ集団です。
そこでストーリーを作りやすいテーマ型投資や個別株の登場です。要するにはやりもの、市場のブームのようなものです。
「コロナでテレワークが増えたから、IT系が上がりますよ」とか、「これからは宇宙産業がきますよ」と言ったストーリーを聞かされ、「IT株ファンド」とか「宇宙関連ファンド」といった特定の産業の会社の株で構成された投資信託や、その会社の株そのものを売り込んできます。しかも確かにその産業が最近伸びたりして話題になったりしているので、「確かにそうかも!」と思ってしまうのです。
しかしこれは間違いです。プロはその何年も前から投資しており、ほぼ上がりきった状態になっているからです。
本当にこれから伸び続けると思ったら、証券会社がホールドして、一般投資家に売るわけないのです。
もうほぼ上がりきっていて、売って利益確定したいと考えているから、それを一般投資家に引き取ってもらう構図になっています。
買わされたあと、1,2年は上がるかもしれませんが、そのあとには地獄が待っています。
証券会社は儲かりませんが、世界株式のインデックスファンドを買う方がはるかに有効です。

②海外投資信託、保険(オフショア商品)

聞いたことがない方もいると多いと思いますが、よく相談を受ける商品です。
オフショアとは海の向こう、海外のものという意味です。
よく「日本では買えない高スペック商品です」といった謳い文句で売り来ます。
たしかに一見魅力的なのですが、これは嘘だらけの危険なものです。
まず第一に、無資格の人が金融庁の許認可なく営業しています。本来は営業してはいけないので、単に「紹介」という形をとっているのですが、高額な手数料が払われています。そして「紹介」しただけなので、アフターフォローがありません。責任も取ってくれません。おまけに自分で問い合わせるときも英語での対応となる場合がほとんどです。
これだけでもやばいですよね(笑)
第二に、口座が海外で開設されている問題です。つまり日本の法律の保護が及ぼないのです。これもやばい。口座開設の金融機関が破産したら?、日本がその国との国交が断絶したら?、海外からの送金に高額の関税が課せられたら?、少し考えただけで危険がいっぱいです。なかには資金を集めたものの実際には運用されていなかったなどといった詐欺の事例も存在します。
そしてこういった「リスク」は「リターン」に一切跳ね返りません。投資の鉄則は「リスクとリターンが比例していること」、ハイリスクならハイリターンだし、ローリスクならローリターンであるということです。リスクをよりたくさんとった人が、よりたくさんリターンを得るべきなのです。しかし先ほど述べたリスクはただただリスクであり、リターンと一切関係ありません。
投資対象としてあり得ないのです。
ちなみに、「日本では買えない高スペック商品です」も真っ赤な嘘で、日本で買える商品で比肩するかそれ以上の商品もちゃんとあります。そして短期解約時のペナルティーが異様に高い。嘘をつかないと売れない商品が、いいものなわけありません。

③未公開株、エンジェル投資

未公開株とは、まだ上場していない企業の株式のことです。エンジェル投資とはそういった企業への投資です。日本の中小企業の株は大半が未公開株です。こういった企業がこれから上場するという時に、「上場すれば値上がり確実だから、上場前の安いうちに買いましょう」と持ち掛けられるようです。確実なわけありません。そもそもこの手のものは、詐欺も横行しています。
エンジェル投資も昔はプロの投資家だけの市場でしたが、最近では小口で一般投資家にも開かれているようです。
創業間もない企業(スタートアップ)に投資する仕組みは必要です。なぜならスタートアップ企業の中は、いいアイデアを持ちながらも資金がないためビジネス化できてない、資金さえあれば将来素晴らしい企業になる可能性を秘めている企業もあるからです。そういった企業の資金調達の方法の一つが、エンジェル投資家からの出資なのです。日本から世界的なイノベーションを起こす企業を輩出するためにはスタートアップを育てることも必要です。ただそういったことは社会貢献に燃える富裕層やプロに任せるべきで、一般投資家にはリスクが大きすぎます。スタートアップで成功できる企業は、ほんの一握りなのですから。こちらも一般の方にとっての投資対象にはならないと考えています。

④仕組み債

これから二つ、高齢者の老後資金がよく狙われる金融商品を紹介します。
一つ目は仕組債です。債権(毎年配当金がもらえ、満期に額面で買い戻してもらえるもの)に、様々な機能を組み込んだ商品です。わかりやすいのはEB(エクイティ・ボンド)かと思います。買うと、景気がよく順調な時は毎年高い利回りが付く社債(会社が発行する債券)です。しかしノックインと言って、発行している会社の株価が一定水準以下になると、価格が下落した株式に変換されて戻ってきてしまうのです。元本が大幅に割れる危ういリスクがあります。利回りの高い債権というのは、リスクが高いから、利回りが高いのです。なぜ高い利回りを付けるかというと、利回りが低いと誰も買ってくれない社債、つまり経営が安定していなかったり成長性が危うい会社の社債だからです。高齢者はとかく「高い利息」と言われると、バブルの時代定期預金で年間6%利息が付いていた時代を知っているので、魅力に感じてしまうようです。しかし今はそんなものはありません。「仕組債」でも「高い利息のようなものが受け取れますよ」という謳い文句で営業されるかもしれませんが、リスクが大きすぎます。
ちなみに、ノックインの逆、発行している会社の株価が一定以上になると、価格が上昇した株でもらえるかと思いきや、買った時の額面金額で戻ってきます(ノックアウト)。下がったとき価格下がった株で戻ってくるなら、上がった時も価格が上がった株でもらえなければリスクとリターンのバランスが取れません。得するのは発行会社と証券会社だけです。こうやって溶けたお金は社会に還元されて経済を活発にされずらい。高齢者が旅行に行ったり孫の教育費として使ってもらった方がはるかに良いと思います。国の将来のためにもよくありません。プロは絶対に買いません。

⑤外貨預金、外貨建て債券

日本の銀行預金は非常に利息が低いので、海外に目を向けようというのはわかります。ただ為替のリスクは非常に厄介です。例として比較的安定している身近な対米ドルで見ても、1米ドル103円台から139円台になったりしています。35%変動しています。結構変動幅が大きい、つまりリスクが大きいのが為替です。
米国債はさして利回り高くないですが、高い利息が付いて魅力的に見えるのは新興国通貨の預金や債券でしょう。なかには念利回り10%を超えるものもあります。
まず思い出してほしいのは、ハイリターンなものは必ずハイリスクであることです。新興国はカントリーリスクと言って、国自体がまだまだ不安定で破綻してしまったり、クーデターで体制が変わってしまったりする可能性があります。通貨や債券が紙切れになる可能性もゼロではない。また近隣の大国の不況のあおりを食って経済が大きく落ち込むこともあります。ツキディデスが「戦史」で述べたように、「大国の利害の影響はその領域内にとどまらない」からです。国の通貨とは発行している国への信頼で成り立っています。経済が大きく落ち込むと通貨も危ぶまれ、一気に下落することもあります。
リーマンショックの時、オーストラリアドルは一気に4割以上下落しました。トルコリラ、ブラジルレアルなど目も当てられない状況です。10%以上利息が付いたところで、為替で一気に吹き飛ぶのが外貨預金や外貨建て債券の世界なのです。
留学予定など、通貨として使う予定があれば別ですが、こちらもプロは絶対に買いません。

シンプルな投資手法が一番

ほかにも細かく言えばいろいろありますが、大きくはこんなところです。
ややこしいがゆえに、いいところにだけ目が行きがちですが、複雑なものは理由があって複雑にしているのであり、金融機関の儲けのしくみを隠すためであることも多々あります。
できるだけシンプルなものを選ぶことをお勧めします。
投資の王道はやはり世界の株式市場にコツコツ投資することです。長期で見れば世界経済の成長ほど信頼性があり、世界の株式市場のように長期で見て6~7%のリターンを提供し続けてくれるものは、ほかに存在しません。いろいろ手を出す必要は、全くないのです。