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「米国株」ブームに惑わされるな!

「米国株」ブームに惑わされるな!

「米国株」ブームに惑わされるな!

「過ぎたるは及ばざるがごとし」。
投資の世界で最近「過ぎたるかな」と思うのが、「米国株」および「インデックスファンド」ブームです。
積立NISAがよりメリットのある制度に改正され、昨今の株高も相まって投資に興味を持つ人も増えてきました。
そんななか、「米国株」、「インデックスファンド」がブームが生まれたわけですが、確かにシンプル簡単で、王道とも呼べるもの。普及するのはよいことのはずだったのですが、それが逆に「歪み」をもたらすことがわかってきました。
そして忘れてはいけないこと、それは「ブームとは常に意図をもって仕掛けられていること」であるということです。
本日はこのうち「米国株」ブームの落とし穴についてお話ししたいと思います。

「米国株」投資は一つのブーム

株式投資の世界において、長期投資は鉄則中の鉄則です。そして長期投資家は決してブームに踊らされてはいけません。
本屋に行ってもYoutubeを見てもブログを見ても「強い米国株に投資しよう」、「米国株式インデックスファンド最強!」みたいな主張をよく見かけます。
よく見かけるってことは、ブームになっているということなのですが、ではなぜ「米国株」がこんなにも注目されているのでしょうか?

確かに近年の実績は目覚ましい

「過去実績は事実」ですし、実績があることは投資先選定の上で最低限の構成要素の一つです。そして米国株式市場のパフォーマンスは、この点素晴らしいものでした。S&P500の1989年1月から2008年12月末までの20年間の年平均のリターンは、ITバブル崩壊、リーマン・ショックという二度の暴落を経ても年率平均8.4%という実績でした。預けた100万円が20年でおおよそ5倍になる計算です。文句なしの素晴らしい実績です。
ただ気を付けるべきは、実績はあくまで過去のことであって、将来を保証するものではないということです。

「米国」株式市場だから成長したわけではない??

先ほど引き合いに出したS&P500ですが、具体的に構成銘柄を見てみると面白いことがわかります。実は米国株式市場をけん引してきたのは「GAFAM」※と呼ばれるGoogle、Apple、Facbook、Amazon、Microsoftの5社です。この5社を除いたS&P495と日本の東証株価指数TOPIXを比べたところ、ほとんど遜色ないことがわかりました。つまりマーケットではなく、個別企業の業績が成長の要因だったわけです。
確かにアメリカにGAFAMを産み出す文化的政策的土壌はあったかもしれません。上記5社が事実としてアメリカに存在していることも確かです。
しかしアメリカで生まれた企業でなければ飛躍的な成長を遂げられないわけでは当然ありません。株式市場の成長には、「マーケット」ではなく「企業」こそが重要です。「企業」を見なくてはならないのです。過去実績だけを見て「米国株式市場にさえ投資すれば大丈夫!」と言っている人は、「大丈夫」な根拠を間違えている人が多いように思います。
「木を見て森も見る」が株式投資信託での資産運用では大切となります。
※今はGAFAMではなく、エヌヴィディアとテスラを加えたM7(マグニフィセント7)ということが多いでしょう。

アメリカ人なら米国株一辺倒でもメリットはあるかも

米国株式市場に絞って投資する場合、アメリカ人であれば確かに大きなメリットもあります。
それはずばり為替コストとリスクを負う必要がないからです。為替コストというのは、外貨両替の手数料のことです。今1ドル100円だとすると、銀行で両替してもらうしてもらう際101円出すと1ドルくれます。この1円が為替コストです。1000万円分両替すると10万円かかりますから、馬鹿にできないコストですよね。為替リスクとは、例えば1ドル100円の時、100万円分米国株式インデックスファンドを買ったとしましょう。10年辛抱強く保有し、晴れて1.2倍に増えたとします。パっと見は120万円になってますが、しかしいざ売却して手元に戻した時、1ドル80円になっていたとします。そうすると120万円×0.8=96万円となり、実際には為替差損で増えたはずのお金が減ってしまうのです。
米ドルで収入を得て、米ドルで投資できるアメリカ人にはこのコストとリスクがありません。ですからわざわざ為替のコストとリスクを負担してまで世界の株式市場に目を向けて投資しなくても、自国のマーケットだけで十分というのは一つの考え方として間違ってはないでしょう。
ですが日本に住んでいれば日本円で収入を得ている方がほとんどです。そうである以上、海外の企業に投資している投資信託を買う場合、アメリカだろうがヨーロッパだろうが為替のコストとリスクは避けられません。ですからアメリカ一国のマーケットに賭けるメリットがありません。

どこ(where)の企業を選ぶのかではなく、なぜ(why)その企業を選ぶのか

何度でも言いますが、長期投資で成功するための一番大切なこと、それは「企業の長期的な利益成長」です。
どこの国の企業なのかは、皆さんの投資成績には関係ありません。
皆さんの投資を成功させてくれるのは、利益成長する企業だけです。
だからこそ、どこ(where)の企業ではなく、なぜ(why)その企業を選ぶのかに目を向けなくてはいけません。

野球で「人類代表」を選ぶなら??

喩え話で考えてみましょう。
ある日宇宙人がやってきて、「我々宇宙人と人類代表とで野球で勝負をしよう。」ということになったとします。
そこで人類代表を選ぶ際、「アメリカ国籍のメジャーリーガー」に絞って選考するでしょうか?
小学生の子供でも知っています。世界一のベースボールプレーヤーは日本人の大谷翔平だと。
ダルビッシュ、山本由伸は選考しませんか?
タティスjrだってドミニカ共和国国籍です。
確かに世界中から選んでも、人類代表の半分以上はアメリカ国籍のメジャーリーガーになるかもしれません。
アメリカ国籍のメジャーリーガーだけから選んでも、ベストに近いチームは作れるでしょう。
だからと言ってアメリカ国籍のメジャーリーガーに絞って選考することは、選択肢を狭めるだけでベストではありません。
本当なら大谷翔平を代表にしたいのに、アメリカ国籍でないから選ぶことができなくなってしまいます。
あくまで重要なのは個々の選手の力であって、国籍ではありませんよね。


株式投資も考え方は同じです。
長期的に利益成長を続けてくれる企業の人類代表を選ぶ時、アメリカで商業した米国企業だけから選んでも、ある程度素晴らしい実績が出るでしょう。
しかし、自動車ならGMよりトヨタ、アパレルならGapよりファーストリテイリング(ユニクロ)を組み入れたくありませんか?
他にも、ウォーレンバフェットも高く評価して話題になった日本の商社を組み入れたくても、アメリカには「商社」ありません。
化粧品ならエスティローダーだけではなく、ロレアル(仏)も組み入れたいですよね?
アメリカ企業だけに絞る米国株式ファンドは、本当だったらアメリカ以外の国の企業を組み入れたいけど、アメリカ企業に限定しなくてはいけないから、本命ではない米国企業を繰り上げ当選させて銘柄に組み入れることになるわけです。

なぜ日本に生まれ育ち、日本企業で働いているのに日本を応援しないのか?

たとえ投資信託といえども、投資信託を通じて企業に出資していることになります。
皆さんが生まれ育ち、子供を産み育てる「日本」が発展を続けることは皆さんと子孫の生活、生活水準、所得に直結します。
であるなら、日本企業にも出資し、発展させることがとても重要だと思いませんか?
皆さんが勤めている企業が日本企業なら、勤め先の企業が発展しないと自分と家族のために収入を増やすことができません。
成長性がない、間違ったビジネスをしている企業まで出資して延命させる必要はありませんが、日本にもいい企業はたくさんあります。
世界株式ファンドなら日本企業も組み込まれていますし、ぜひ日本企業にも目を向けてほしいと願っています。

ぶれずに「世界の株式市場」に投資しよう!

いかがでしたでしょうか?
米国株式一辺倒だった方は世界株式へ、すでに世界株式に投資している方はぶれずに世界の株式市場に投資し続ける勇気が湧けば幸いです。
ちなみにですが、世界株式インデックスファンドに投資しても、現在は70%前後が米国株にはなっています。
世界の覇権国は常に入れ替わってきました。
今はアメリカ一強でも、その地位は少しずつ多極化しつつあります。
世界株式ファンドを持っておけば、ほかの国の企業が伸びた時、おのずとその国のウエイトが上がります。
世界株式に投資していれば広くトレンドをおさえることもできるので、ご安心ください。